みなさん、こんにちは。今回はようやくこの映画の考察をすることができました。結構前に見て、おもしろい!!と思ってから少し時間が経ってしまったのですが、今回紹介させていただきます。
『アメリカン・ビューティー』
こちらですね。少しエロティックな写真が載っていますが、実際はそんなにです。エロと言うより芸術のエロさが少し見られる作品でもあります。そんな感じで今回も映画紹介していきます!
アメリカン・ビューティー
公開年 | 1999年 |
上映時間 | 117分 |
監督 | サム・メンデス |
ジャンル | ラブストーリー、風刺? |
出演者 | ケヴィン・スペイシー、ミーナ・スヴァーリ |
・1999年にアメリカで公開された『アメリカン・ビューティー』。ジャンルはラブストーリーですが、一般的なラブストーリーとは少し違う雰囲気を漂わせる内容になっているので、恋愛映画が苦手な方でもこの作品には興味を持てるのではないかと。また、この作品は、2000年のアカデミー賞で作品賞をはじめ、合計5つの部門で賞を獲得しているというアカデミー賞総ナメという実力派の映画となっています。
・主演のケヴィン・スペイシーは『セブン』や『ベイビー・ドライバー』などの様々な作品に出演してる俳優でありまして、一方ヒロインのミーナ・スヴァーリは『アメリカン・パイ』をはじめとする数多くの作品に出演しています。
・この作品は重要な登場人物が少し多めに出てくるので、まずは登場人物を紹介していきます。
登場人物
・レスター・バーナム(ケヴィン・スペイシー)
・広告代理店で勤務をする主人公の男。妻と一人の娘を持つ父親でもある。仕事、家族関係など何事もうまくいっておらず、ひたすら我慢の日々を過ごす冴えない男。どことなく変態臭が漂う少し気味の悪いおじさんとも言える。
・キャロリン・バーナム(アネット・ベニング)
・レスターの妻であり、不動産業を展開するやり手の女性。レスターとは違って、仕事ができ、娘との関係(上辺)も良くて、冴えない夫に嫌気がさしている。レスターとの中はすっかり冷めているが、知り合いなどには仲をよく見せたり、良い人ぶりをする。
・ジェーン・バーナム(ソーラ・バーチ)
・レスターとキャロリンの一人娘の高校生。どこか冷めている高校生の娘、ジェーン。親が自分に興味がないことを理解しており、どこか高校生よりは大人びている様子。心のよりどころがなく、誰かを求めている感じも見て取れる。
・アンジェラ・ヘイズ(ミーナ・スヴァーリ)
・ジェーンの高校の友達のアンジェラ。高校生にしては妖艶さがありすぎる女の子。周りの男子からもかなり人気で、そのことを友達のジェーンに自慢するなど性格はあまり良いとは言えない。
・リッキー・フィッツ(ウェス・ヴェントリー)
・バーナム家のすぐ隣に引っ越ししてきた家族の一人息子。高校はジェーンとアンジェラと同じ。大麻の売買をしているなかなかやばい高校生。なぜか、バーナム家に興味があり、カメラで彼らの動画を撮ることが趣味に。
・フランク・フィッツ(クリス・クーパー)
・元軍人であり、リッキーの父親。ものすごく厳格な性格で、息子のリッキーが何か隠しているのではないかと、いつも勘ぐっていて、少し暴力をふるう。
・主に、この6人がこの映画のメインキャストとなりますので、あらすじを見ている中で混乱したらまた、この登場人物紹介で確認すると物語が頭に入ってきやすいです。では、あらすじに入っていきましょう!
あらすじ(ネタバレあり)
完璧な家族
・広告代理店で働く夫、不動産業を営む妻、そしていとしの一人娘。側から見たら、幸せそうな家族そのものな生活を送っているレスターであったが、実は夫婦仲は冷め切っており、娘のジェーンも反抗期真っ最中であるため、レスターと顔を合わすのも嫌になるほど。そんな冷たい態度を取られるレスターは娘のご機嫌を取ろうと、ジェーンのチアリーダーをしているのを学校まで見にいき、迎えにいきました。そこで、中心となって踊っていた、一人の女子生徒に目が行きます。彼女はジェーンの友達である、アンジェラでした。そんな美しいアンジェラにレスターは一目惚れ。娘の友達に恋をするというなんとも言えない展開に。
フィッツ家
・そんなレスターたちの隣の家にフランクとその息子フィッツが引っ越していきます。フランクは元軍人で、性格はとても厳格でありゲイを毛嫌いするという性格。その息子のリッキーは麻薬の売買をしており、なかなかの変わり者。しかし厳格な父親の前では普通の息子を演じている。リッキーはジェーンとアンジェラと同じ高校に転向することになり、ジェーンは見た目がハンサムなリッキーに恋をしてしまいます。そんで、レスターはリッキーが売人ということを知り、彼の客となってしまうのです。
アンジェラの魅惑
・ある日、レスターが家に帰るとそこにはアンジェラの姿が。ジェーンが遊びに誘い家に招待していたのです。レスターは二人の会話を盗み聴きし、アンジェラが”彼(レスター)がマッチョになったらセックスしてもいいわ”と言っていることを耳にします。娘のジェーンは冗談はよしてと、少し呆れ気味。しかしそれを聴いたレスターは一目散にガレージに行き、筋トレを始めます。その一方で、ジェーンが楽しんでいる様子を隣の家からカメラで撮影するのはリッキー。なんでもビデオに収めるのが好きな彼は彼女の私生活だけでなく、筋トレをしているレスターの姿までも録画していました。
妻の不倫、夫の浮かれ
・不動産業を営む妻のキャロリンは、彼女の顧客である男性と不倫関係に。そんなことも知らずに、もはや興味もなくレスターはアンジェラに夢中。彼女に出会ってから、自分に自信がついたレスターはキャロリンに今までの鬱憤を晴らすかのように当たったり、会社の上司に文句を言うなどして会社をクビになってしまいます。そんなレスターは近くのハンバーガーレストランで働くことに。するとそこに妻とその不倫相手の男が揃って来店。レスターの頭にはアンジェラのことしかないため、妻が不倫してようがお構いなし。そのようにして家族が崩れていきます。
ジェーンとリッキー
・夫婦仲が冷めて、母親は違う男に夢中。父親はもともと嫌い。そんなジェーンに居場所は段々と無くなり、リッキーとの距離が接近します。夕食の時間に日頃のストレスがついに爆発したレスターは妻と娘を怒鳴りつけ、良い気分に。全てが嫌になったジェーンはリッキーの部屋に。彼が麻薬で捕まり、施設に入っていた過去や厳格な父親が嫌いなことをジェーンに打つ開けます。するとジェーンも”私も父親なんて好きじゃない”と。
勘違い
・いつものようにジョギングを終えたレスターは麻薬を買うためにリッキーにあとで連絡すると伝えました。その二人の様子を父のフランクが見ており、二人の関係を疑います。そんなフランクは、リッキーの部屋に行き彼の録画してあるテープを発見しました。そこにはレスターが裸で筋トレをしている動画が収められていたのです。その日の夜、夕食をしているリッキーのところにレスターから麻薬のことで連絡が入り、レスターの家に行くことに。昼間のことがあり、息子とレスターの関係を疑っていたフランクは二人を家から監視していました。フランクからは彼らがセックスをしているように見え、息子をぶん殴ります。そんな父にリッキーも耐えきれず、家を出ることに。
慰め
・家を出たリッキーはジェーンに駆け落ちをしようと提案します。ジェーンはその提案を受け入れ彼と一緒に家を出ようとしますが、それをアンジェラが引き止めます。しかしそんな親友の言葉にも耳を貸さず二人は家を出ることに。レスターの元にフランクが訪れます。フランクは泣きながらレスターにキスをします。驚いたレスターは”君は何か勘違いをしている”と言いフランクを引き離しました。一方、親友に傷つけられたアンジェラがソファで泣いていました。そんなアンジェラを慰めるレスター。それに惹かれたアンジェラはレスターにキスをしてセックスを始めようとします。しかし、今まで彼女とセックスをするだけのために鍛えてきたレスターですが、彼女が処女だということを聞き、目を覚まします。またアンジェラからジェーンの話を聞き父親としての自覚も取り戻していきます。そして家族写真をみて微笑むレスター。妻のキャロリンは車を運転しており、その隣の席には拳銃が置かれたあり、”私は犠牲にならない”と意味深いセリフを言います。
薔薇に染まるレスター
・家族の写真を見て微笑んでいるレスター。するとそこに大きな銃声が聞こえます。その銃声を聴いたリッキーとジェーンがキッチンに行くと、血まみれになって倒れているレスターの姿がありました。アンジェラはその銃声をトイレの中で耳にしました。そこには拳銃を持ったキャロリンの姿が。彼女はレスターの寝室に行き彼のクローゼットにある服を抱きしめ泣き崩れます。返り血を浴びたフランクが家に帰ります。レスターの顔は微笑んでいました。
考察
タイトルの意味
・アメリカン・ビューティーは日本語にすると『アメリカの美』という意味になりますが、アメリカン・ビューティーとは薔薇の一種でもあるのです。アメリカの幸せな家族像を描きつつ、皮肉にもその崩れ様を薔薇(枯れやすい)を用いて表現している。そのようなことからこの名前がつけられたのではないでしょうか。
フランクがレスターにキスした理由
・これ僕も最初見たときは、レスターがゲイかどうかを確かめるために彼にキスをしたものだと思っていました。でもそりゃちがいましたね。レスターがキスされた時に言った”君は何か勘違いをしている”という言葉。この言葉により僕の予想は間違いだと分かりました。分かりやすく説明しますと、
〜ゲイかどうか確かめるという世界線の場合〜
・キスをする
↓
君は勘違いしていると言われる
↓
レスターがゲイじゃないことが判明
↓
殺す動機がなくなる
このように、物語の辻褄が合わなくなってしまうのです。では結局なんでフランクはレスターにキスをしたのでしょうか。そしてなぜ殺されたのか。
・おそらく、フランクがゲイだったのでしょう。
〜フランクがゲイだった世界線の場合〜
・キスをする
↓
君は勘違いしていると言われる
↓
ゲイということがレスターに知られる
↓
そのことをバラされないように殺害
と、このような世界線なら物語的にぴったり合うのですが、これはぼくの解釈ですので別の意見もあると思います。それが映画のいいところ!いろんな人が様々な考察を持ち寄ることによってその作品がより一層面白くなるのです。
殺したのはキャロリン?
・そんなわけないでしょ。と思うかもしれませんが。あり得なくもありません。まあフランクが返り血を浴びている時点で彼が犯人なのでしょうが、もしかしたらキャロリンがレスターを撃ったという可能性も捨てきれません。最後の、クローゼットで泣き崩れているシーンも、殺してしまった夫の匂いを嗅いで後悔しているのかもしれませんよ。
アメリカン・ビューティー
・レスターはアンジェラの話によって、家族という幸せに気付きましたが、それに触れることなく最期を迎えました。アメリカンビューティーを味わうことなく終わったアメリカン・ビューティーという作品。これはこれで、別の美が作品に残ったのではないでしょうか。決してハッピーエンドとは言えない、しかしバッドエンドとも言いきれない、この作品。まさにアメリカン・ビューティー。
おわりに
・アメリカの上辺だけ幸せな家族を皮肉めいて描いた作品でしたね。薔薇を使った表現やカメラワークもとても魅力的で、アカデミー賞を総ナメした理由がわかりました。またレスター役のケヴィン・スペイシーの演技も凄かったですね。幸せがありふれるがばかりに幸せということの価値や意味がわかりづらくなる。そんなこともこの作品では伝わってきますね。この一つの作品でかなりたくさんの視点から楽しめると思います。ぜひ見てみてください。
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