ある特定の記憶だけを消せるとしたらどのような、誰との記憶を消しますか?
みなさんご存知ですか、この映画。
恋愛映画をあまり観る機会がなく、普段はアクション映画やヒューマン映画に全てを捧げている自分ですが、、、
出会ってしまったのです。最高傑作の恋愛映画に。恋愛映画が苦手な人にこそ観て欲しい。
そんな作品です。
”なんだ〜?この映画、わけわからん”
正直、最初にこの作品を観たときはこのような感覚におそわれまして。
まあ、ぼくの感想はさておき、、
ざっくりとこの作品について説明していきますね。
*ちなみにネタバレもするのでまだ観たことのない人はあらすじまでで止めてください。
エターナル・サンシャイン
公開年 | 2004年 |
上映時間 | 107分 |
ジャンル | ラブストーリー・SF |
監督 | ミシェル・ゴンドリー |
出演者 | ケイト・ウィンスレット、ジム・キャリー |
・2004年に公開されたアメリカの恋愛映画です。
メインキャラクターはマスクなどで有名な俳優、ジムキャリー(Jim Carrey)
一方ヒロインはタイタニックなどでご存知の通り、ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)
この映画はよく色々なサイトで、「一度は観た方がいい!」 「死ぬまでに観ておくべき作品!」
などの常套句が並べられるような作品でありまして。そのような映画にハズレは少ないのですが、恋愛映画というだけで、少し興味がそそられないというか。。てな、理由で今まで興味はありましたけど、少し避けてきましたとさ。
ではあらすじに参ります^
簡単なあらすじ
・カップルであるジョエル(ジムキャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)の二人がバレンタインに大きな喧嘩をしてしまうという感じの話でして。
と、一見よくある恋愛映画の展開だろと感じたそこのあなた、
続きを観ていくと普通の恋愛映画(普通とは何か)とは一味違います、斬新!!
↓では続きです。
喧嘩の後、クレメンタインは彼氏であるジョエルとの思い出だけを削除する手術を受けることにしました。
そんな現実離れしたことを聞いたジョエルでしたが、彼もクレメンタインとの記憶を削除することに。
この物語はそんなジョエルの記憶削除手術中で本当に彼女との記憶を消していいのか葛藤し、
やっぱり記憶を残しておきたいと思うようになり、、、、
ざっくり説明すると、こんな感じです。
”でもこういう記憶をなくしたりするって設定がすこしベタよね〜”と思ったそこ!
違うんですよ。まったくをもって!
この映画にはなぜか分からないが、観た人の心を掴む仕掛けがあるんです。
(僕も掴まれちゃいました、ぐわっしり)
次は詳しく、ネタバレもあるので注意してご覧ください。
髪の毛の色で見る作品の流れ(ネタバレあり)
ストーリー全体の構造
この作品は記憶を辿っていく映画になっているため、今いつのときの記憶にいるのかが分からなくなると思います。そんな方のために、この物語の構造を分かりやすく説明していきます。
まず、注目してもらいたいのが、クレメンタインの髪の毛の色です。一度ご覧になった方はお分かりだと思いますが、作中で彼女の髪の毛の色は様々に変化しているのです。そしてこの髪の毛の色がその時のクレメンタインの感情を表したものとなっております。
では、作品の流れに沿った彼女の髪の毛の色を見ていくとこうなります。
ストーリー順の髪の毛の色
①青色
↓
②茶色
↓
③赤色
↓
④緑色
↓
⑤青色
このように、青から始まり青で終わるという流れにはみなさん、お気づきでしょう。髪の毛の色がクレメンタインの感情を表していると言うことと、青色が二回登場すると言うことを考えると、後々にも述べますが、冒頭のシーンは実はラストシーンとなるのです。
でもこの順番は時系列で見ると全然違いますので、時系列で見ると髪の毛の色はこのようになります。
時系列での髪の毛の色
①緑色(モントークでのBBQで二人が初めて出会った時)
↓
②赤色(ふたりの関係が一番ピークを迎え幸せの時)
↓
③茶色(お互いの関係がうまくいかず、終わりを迎えようとする時)
↓
④青色(ふたりが別れ、お互いの記憶を消した後に、また出会ってしまう時)
ストーリー順と時系列が逆になっている所がこの映画の難しい点です。ストーリーに沿って見ていくと、少し困惑する場面があると思いますが、時系列順の色を把握しているとますます作品を楽しめると思いますよ。
あらすじ(めちゃくちゃネタバレあり)
彼女との出会い
いつものようにベットから起きたジョエルは仕事に向かいますが、自分の車に大きな傷が。こすった記憶はなく、隣に止めてあった車がやったのだと思い、置手紙を書きます。皮肉を込めて”thank you”と。
駅のホームで電車を待ちますが、急に反対ホームに走り出すジョエル。そして出発寸前の電車に駆け込みそのままモントークという駅へ。体が勝手に動くかのように自分でも理解できない行動でした。彼は駅を降りて浜辺へ向かい、ただ歩くだけ。冬の浜辺、やることもなく、近くの小さなカフェへ。するとその正面に髪の色が奇抜な女性が座っていました。そう彼女がクレメンタイン。その後、ジョエルが帰りの電車に乗ると、たまたまクレメンタインも同じ電車に。
クレメンタイン: ”Hi!”
ジョエル :”どうしました?”
クレメンタイン: ”ただ、挨拶しただけよ”
たわいもない、話をして別々に降車する二人。しかし結局、ジョエルがクレメンタインの事を車で送っていくことに。家に着いた二人は酒を飲み、会話がはずみます。ジョエルは家に帰ると、クレメンタインに電話して、”今度また会おう”と一言。
後日、2人は凍った湖に行き、二人の時間を過ごし、クレメンタインを車で送りました。
ここまでが、イントロです。その次のシーンが、ジョエルが泣き崩れているシーンへと飛びます。
消された記憶
車で泣き崩れるジョエル。バレンタインの日にクレメンタインと大きな喧嘩をして、謝りに行こうと職場を訪れると彼女にはもう新しい彼氏が。クレメンタインは、ジョエルの事を知らない人のように扱い、ジョエルは途方にくれます。ジョエルの親友が、クレメンタインから預かった手紙をジョエルに渡します。そこには、”私、クレメンタインはジョエルとの記憶を削除します。”と書いてあり、その手術を受けた病院の名前が記載されていました。ジョエルは、”こんなバカげたことがあり得るのか”と怒り、その病院を訪ねます。
院長に怒りをぶつけますが、消してしまったものはもう仕方ない。と言われます。するとジョエルは”僕もその手術を受ける”と言い、クレメンタインの記憶を消す手術が始まりました。
彼女を消さないで、
早速ジョエルは記憶を消す手術を受けることに。新しい記憶から消していくという施術であったため、関係が終わりかけていた頃の二人の記憶がどんどん消えていきます。ジョエルが彼女との記憶を消している途中に、彼女と出会った記憶、楽しかった思い出などが次々に蘇ってきてしまいます。出会ったときの心躍る瞬間、一緒に食べたあのレストラン、ドライブインで見たラブストーリー。彼女に嫌気がさして、記憶を消すと決めたのに、思い出すのはクレメンタインとの楽しかった時間。楽しかった記憶だけは残しておきたい。
しかし、消されていく記憶から逃げることのできない中でジョエルは、クレメンタインとの記憶を消したくないと強く思います。この手術の失敗例はなく、一度施術を開始したらもう記憶は戻らない。とても心が苦しくなる、しかし自分で決めたことなのだから、責任が伴う。
「一度記憶を消すと決めたらもう後戻りはできないという設定。非現実的ですが、違った形で現実世界に何か訴えている感じがしますね。一度、別れを選んだらもう同じようには戻れないみたいな、、、、」
記憶からクレメンタインが消えていく。好きだった彼女を忘れていく。そこでジョエルは今でも彼女を愛していると気付かされる。しかし記憶は削除されていく一方。そんなジョエルは削除されていく記憶からクレメンタインと逃げ出そうとします。ジョエルの記憶の中で、クレメンタインが存在しない記憶に彼女を連れていくことで、彼女を自分の頭の隅に残しておく。とても面白いアイデア。
この設定が時間軸を行ったりきたりするので少し難しいポイントですね。
盗まれた彼女
記憶を消されている途中でジョエルの激しい抵抗により、意識がほんの少し戻り現実世界の会話を耳にします。クレメンタインに出来た新しい彼氏はジョエルの記憶を消している病院の職員の一人でした。その彼はクレメンタインの施術にも関わり、その時に彼女に恋をしてしまったのです。記憶を消すときには、その本人と相手の思い出のモノ(日記や写真など)を持ち込みます。それらをその彼は盗み、少し変わったクレメンタインの趣味嗜好を把握していました。
そのことに気づいたジョエルは、ますます記憶を消すことに抵抗を示します。しかし、ジョエルの頭の中からクレメンタインとの記憶、クレメンタインという記憶が消されてしまいます。激しく抵抗しますが、記憶はだんだんと消されていく一方。そして記憶が消される最後のクレメンタインとの思い出は浜辺。モントークにある。そこでクレメンタインはジョエルに、”またここで会いましょう、モントークで”とだけ言って記憶削除の手術が終了します。
もう一つの物語
少し話がずれますが、ジョエルとクレメンタインの話と並行して、もう一つの男女の物語も流れているんですよ、この映画。
病院の院長と病院の職員の二人。ジョエルの施術が終わり、一安心した女性職員は前から院長の事が気になっていました。しかし院長には奥さんがします。そのことを知りながらも彼女は院長に熱いキスをして、それを拒めなかった院長も盛り上がってしまいます。そこに、院長の妻が登場します(うまくいきすぎと思いますが、この流れは自然であるように映画では描かれているので、ご自身の目で見てみてください)。その現場を目撃した奥さん。慌てる院長と彼女。
すると奥さんが、一言”その男は前からあなたのものよ”とだけ言って去っていきまして。
そう、院長と彼女の不倫関係は以前もあり、その記憶を彼女は手術によって消していたのです。しかしまた同じことが起きてしまった。
こんなストーリーもこの映画に合って、一度に2つの作品を見ているかのようでした。
クレメンタインとの出会い
記憶削除の手術が終了し、自分の部屋のベッドで眠るジョエル。その後、起床しいつものように会社に向かいますが、自分の車に大きな傷が。こすった記憶はなく、隣に止めてあった車がやったのだと思い、置手紙を書きます。皮肉を込めて”thank you”と。
「お気づきでしょうか、実は冒頭のシーンはラストシーンだったのです。クレメンタインの記憶を消されてもまた、2人は出会ってしまう。院長と彼女と同じように。」
院長との過去を知った彼女は、クレメンタインとジョエルにお互いが記憶を消す前に資料としてそれぞれの相手の悪いところを録音したテープを送ります。それを聞いた、2人は以前付き合っていたことを知り、大きな喧嘩をして別れたことを知ります。訳が分からなくなった二人は一度それぞれの家に帰りますが、クレメンタインがジョエルの家に駆け付けます。そしてその後、ふたりはどのような選択肢を選ぶのか。。。
ラストは視聴者の想像に任せられている気がします。果たして二人が記憶を消したのは本当に初めてだったのか。それすらも考えさせられますね。
一度、お互いの記憶を消したのに、また出会ってしまう。運命のような必然のような。
観るべき理由
・こういう言い方は好みを他人に押し付けるようで、あまり好きじゃないんですけど。このブログではそういったことを
お構いなしにオススメしていきます。
・とにかく頭をめちゃくちゃ使います、この映画。
なんかもう、今夢なのか、現実なのか。過去なのか、現在なのか。
注意して観ていないとおそらく内容わかりません。(多分ほとんど)
僕自身も2回目にして、”あ〜〜”って感じで95%くらい理解できました。
(クレメンタインの髪色に注目するとわかりやすい)
・その代わり、内容を把握しようとしてしっかり観るので集中はできますよ、きっと。
僕自身はゆったりと何も考えずに観ることが好きですが、この映画は別腹です。
それに、この作品のクレメンタインはとても魅力的に映りました。
僕はこの作品を観てケイトウ・ィンスレットの存在を知り。 その後タイタニックを見て、
”あっクレメンタインだ!”と思いました。
(普通、あっタイタニックのローズだ!”となると思いますが!!)
こんな人に観て欲しい
あ~何か観るものないかな
あ~タイタニックよかったな
あ~ジム・キャリーとケイト・ウィンスレットが共演してる作品ないかな
そんなあなたに観て欲しいです。
うそです。
恋愛映画を見過ぎたそこのあなた。恋愛映画が苦手なあなた。
とにかく多くの人に観てもらいたいです。男女問わず年齢も関係ありません。みなさん、楽しめる。
最後に
この作品は何度見ても楽しめるものだと思っています。毎回見るたびに
”あ〜こことそこが繋がっていたのか〜”などの発見もあり、何度も楽しめちゃいます。
まあ、なんと言っても、ラストが大事!
ちゃんと目を離さず見てくださいね。
大袈裟だと思われますが、この作品に出会って少し人生観を考えさせられた一本でもあります(あれ、どこかで聞いたことあるような常套句だな)。
そして気がつくと
”あ〜なんかエターナル・サンシャインみたいな〜” なんて考えています。
まるで何回も見てるのに記憶を消されて。
でもまた見たくなる。
そんなメッセージが隠されているのかもしれません
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